映画『ハクソー・リッジ』レビュー

映画

こんにちは。臘月堂(@Lowgetsudou)です。

今日は『ハクソー・リッジ』の話。

作品情報

ハクソー・リッジ

(原題:Hacksaw Ridge)

  • 製作:2016年/アメリカ・オーストラリア/139分
  • 監督:メル・ギブソン
  • 出演:アンドリュー・ガーフィールド/ヴィンス・ヴォーン/サム・ワーシントン
  • 撮影:サイモン・ダガン
  • 編集:ジョン・ギルバート
  • 音楽:ルパート・グレッグソン=ウィリアムズ

予告編

レビュー

「自分の信念を決して曲げず、首尾一貫した言動を取り続ける」

そんな人物、あなたはどう思うだろうか?

私は尊敬し憧れると同時に、恐怖を覚えてしまう。

彼らの中には

「自分の価値観を相対化できず視野狭窄に陥った上に、行動力があり過ぎる者」

もしばしば混じっているからだ。

私は『ハクソー・リッジ』でアンドリュー・ガーフィールドが演じる狂信的な青年の姿を観て、感動すると同時にゾッとしていた。

彼の場合は、たまたま善意が善行に結びついた幸運な例。

時代や環境が違えば、善意を暴走させ他者を抑圧する、クロムウェルやヒトラーやロベスピエールのような存在になっていた可能性だってあるのだ。

「カトリック原理主義かつ人種差別主義者のメルギブによる沖縄戦映画」

という時点で、観る前から警戒はしていた。

それに『パッション』で感じた強烈なうさんくささが、今作の鑑賞に当たり否定的なバイアスになったのは否めない。

もろもろ自覚した上で言うが、結局この映画も"被害者エクスプロイテーション映画"に思えて仕方なかった。

確かに、ひたすら他者を利する主人公の信念はまぎれもなく尊い。

「神さま、あと一人、助けさせてください。。!」

というセリフが『シンドラーのリスト』を思わせて胸が熱くなったのも事実だ。

飛び散る肉片、噴き出す血潮、ちぎれた手足、目の前で次々と死ぬ戦友たち。

接近戦のシーンではほぼ必ず殺されまくる"卑怯で残虐な"日本兵。

メル・ギブソンは『パッション』でキリストの磔刑を再現した時に劣らず、選民意識と被害者意識に酩酊している。

ひねくれず純粋に

「滅私や利他精神の素晴らしさを讃えた映画」

と受け取るのが精神衛生に良さそうだ。

信仰は理性的な思考を奪うため近寄りすぎないよう心がけているが、何かを信じる事であれだけの偉業を成し遂げられるのなら、神様も悪くはない。

神とハサミは使いようだ。

映像演出はスリル満点でドキドキしっぱなし!

人物を主にアップで捉えるカメラワークには、極限状態の中で視野狭窄になった兵士たちの心理がよく現れている。

さらに戦場の全体像が掴めない不安感と、得体の知れない日本兵たちへの恐怖感がビシビシ伝わってきて息が詰まりそうだ。

体験型のアトラクションとして楽しむのも一興だろう。

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