映画『異国の出来事』レビュー

映画

作品情報

異国の出来事

(原題:A Foreign Affair)

  • 製作:1948年/アメリカ/116分
  • 監督:ビリー・ワイルダー
  • 出演:マレーネ・ディートリッヒ/ジーン・アーサー/ジョン・ランド
  • 脚本:チャールズ・ブラケット/ビリー・ワイルダー
  • 撮影:チャールズ・ラング

予告編

レビュー

こんにちは。臘月堂(@Lowgetsudou)です。

大学を中退したビリー・ワイルダーは、作家を目指してベルリンへ行く。

そのころ一緒に飲み歩いていた無名の女優たちの中に、若きマレーネ・ディートリッヒがいた。

それから20年後、再会した2人が作ったのが『異国の出来事』だ。

ジーン・アーサーとディートリッヒのダブルヒロインによる楽しく笑えて時々切ないラブコメディで、

ワイルダーとディートリッヒがタッグを組んだのは今作が最初で最後となる。

終戦直後、米・英・仏・ソの分割占領が始まった頃のベルリンでロケ撮影が行われ、廃墟となった街並みは歴史映像としても価値が高い。

1933年に爆破された国会議事堂(ヒトラーの自作自演か共産党員のテロか真相は定かでない)の姿も映されるが、

この事件のドサクサに紛れてフランスへ亡命したワイルダーにとっては重要な建築物だったろう。

俳優の演技については、ディートリッヒ扮するクラブ歌手の、街を焼かれてもパトロンに去られても堂々とした態度を失わない強さが胸を打つ。

だが、浮気な大尉に恋をする「天然・うぶ・情熱家」三拍子そろった女性議員役のジーン・アーサーこそが今作の白眉だ。

見ているだけで幸せな気分になる好人物で、それだけに悲しい事実を目の当たりにした後のギャップも際立つ。

終盤で意気消沈して歩く彼女の後ろには、瓦礫にまみれたベルリンの街。

台詞を用いず、映像だけが饒舌に彼女の心理を物語る。

「追い詰める側が追い詰められる側へ転倒する恋の逆転劇」

を楽しむ作品でもあり、ジーン・アーサーが収納ボックスを一つ一つ引き出しながら後ずさる名シーンは二幕目、そしてラストでも活かされる。

なんとも粋な幕引きだ。

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