映画『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』レビュー

映画

作品情報

バトル・オブ・ザ・セクシーズ

(原題:Battle of the Sexes)

  • 製作:2017年/アメリカ・イギリス/122分
  • 監督:ジョナサン・デイトン/ヴァレリー・ファリス
  • 出演:エマ・ストーン/スティーブ・カレル
  • 脚本:サイモン・ボーファイ
  • 撮影:リヌス・サンドグレン
  • 編集:パメラ・マーティン
  • 音楽:ニコラス・ブリテル
  • 製作:クリスチャン・コルソン/ダニー・ボイル
  • 衣装:メアリー・ゾフレス

予告編

レビュー

こんにちは。臘月堂(@Lowgetsudou)です。

『リトル・ミス・サンシャイン』『ルビー・スパークス』

「ライトで楽しく、ちょっぴりビター」

な作品を送り出してきたデイトン&ファリス監督が、「女性の社会的進出」というテーマに真正面から切り込んだ。

何より「男が悪、女が善」と記号的に片付けない脚本に好感が持てる。

主人公たちがそれぞれに弱さを抱え、他人を傷つけることもある人物として描かれている。

性別を抜きに、2人が普通の人間であることを前提に物語が進行していく。フェアな演出だ。

男女タッグの監督だからこそ保てるバランス感覚だろう。

特に印象深いのはクライマックス後のシーン。

ビリー・ジーンの勝利や喜び自体はそこそこに、

長めの尺で映し出されるのは一人きりのロッカールームで彼女が見せる様々な表情。

泣き顔、微笑み、安堵、思いつめたような表情、無表情。

あらゆる感情が次々と入れ替わるその光景は、『セブン』のラストでジョン・ドゥの処遇に葛藤するブラッド・ピットを思わせた。

ブラピといえば『マネーボール』終盤で自分のチームの勝利を見届けた彼が、

喜ぶというよりは肩の荷が下りたようにため息をつく姿。

これもまた今作ラストのエマ・ストーンと重なる。

振れ幅が大きい感情やセリフを使わず、役者の表情の綾を読ませる映画は近年あまりみられない。

繰り返しになるが、「男だから女だから」でなく、感情も理性も備えた一人一人の「人間」に敬意を払う作り手の姿勢を評価したい。

エマ・ストーンとスティーブ・カレルの共演は『ラブ・アゲイン』に続き2作目。

コミカル演技に軸足を置く2人が演じることで、社会派なテーマもカタくなりすぎずユーモアが保たれるのが面白い。

そして衣装デザイナーのメアリー・ゾフレスと撮影監督リヌス・サンドグレン

『LA LA LAND』のビジュアルを担当した両名が作る華やかな映像も見どころ!

テーマカラーの黄色はじめ暖色が心地よく、

不安や悲しみを描くシーンで挟まれる寒色とのメリハリもきいている。

宵闇に浮かび上がるホテルと公衆電話を捉えたカットがとりわけお気に入りだ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました