映画『コンテイジョン』レビュー

映画

こんにちは。臘月堂(@Lowgetsudou)です。

今日は『コンテイジョン』の話。

猛烈な勢いで広がる疫病でパニックに陥る人々、限られた情報と時間の中で必死に対処する人々を描いた群像劇だ。

観るとうかつにモノを触れなくなる恐れあり。

作品情報

コンテイジョン

(原題:Contagion)

  • 製作:2011年/アメリカ/105分
  • 監督:スティーブン・ソダーバーグ
  • 出演:マリオン・コティヤール/マット・デイモン/ローレンス・フィッシュバーン/ジュード・ロウ/グウィネス・パルトロー/ケイト・ウィンスレット/ブライアン・クランストン
  • 脚本:スコット・Z・バーンズ
  • 撮影:ピーター・アンドリュース
  • 編集:スティーヴン・ミリオン
  • 音楽:クリフ・マルティネス

予告編

レビュー

パンデミック映画は沢山あるが、本作で描かれるのは疫病がもたらす大混乱そのものだけではない。

「疫病がどこから発生し、どんな感染経路で広がり、どんな経過を辿るか」

「個人の力では為すすべもない事態に見舞われた時、人々はどんな行動を取るか」

を詳細に描いており、災害シミュレーション映画として観ることもできる。

不条理な厄災に対して希望を失わず、「ワクチンを開発する」という、現状の自分にできる最善の事に集中して打ち込む人物たちは、カミュの『ペスト』に登場するリウー医師を思わせて背筋が伸びる。

自分もこうありたいものだ。

また、本作が公開されたのは東日本大震災が起きた2011年。

当時はSNSで根も葉もないデマを撒き散らかす連中がうじゃうじゃ湧いて、錯綜する情報に振り回された人も多くいた。

悪意のもとデマを流す者はストレートに「けしからん」って話。

一方。

誰かが善意で流してしまうデマを、善意の人々が広める図式も多くて困りものだ。

「恐怖と不安で"文明人"の薄皮をいとも簡単に脱ぎ捨て、エゴを爆発させる人間たち」

はパニック映画を彩る光景の一つ。

暴徒と化した群衆が大暴れするシーンは沢山の映画で観られる。

しかし、人間の理性や良心のもろさを「暴徒」という半ば記号と化した描写だけで片づけないのが今作の見どころ。

『マネー・ショート』よろしくパニックを利用して一儲けたくらむ人間。

真剣に事態の解決に取り組みながらも、こっそり近親者だけを優遇する人間。

人命の救出よりも復讐を優先する人間。

絶望しかけた人間たちが、精神のバランスを維持する為に理性をかなぐり捨てて新興宗教に走る展開も大変リアルだ。

その意味で、今作のジュード・ロウは人気ブロガーというより新興宗教の教祖と言った方が適切に思える。

『ミスト』のおばちゃんと一緒。

さらにこの映画、

「ワクチン完成!みんな治ってみんなハッピー!」

という能天気エンディングでは済まさない。

事態がスッキリ解決しないおかげで、観た後にずず~んとしこりが残る逸品でございました。

誰かが不幸になると、それによって得をする人間がいる。

得をする人間がいたら、見えないところで誰かが不幸になっている。

その可能性を常に意識していたい。

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