映画『ダンケルク』レビュー

映画

こんにちは。臘月堂(@Lowgetsudou)です。

今日は『ダンケルク』の話。

作品情報

ダンケルク

(原題:Dunkirk)

  • 製作:2017年/イギリス・アメリカ/106分
  • 監督・脚本:クリストファー・ノーラン
  • 出演:フィン・ホワイトヘッド/トム・グリン=カーニー/ジャック・ロウデン/トム・ハーディ/キリアン・マーフィー
  • 撮影:ホイテ・ヴァン・ホイテマ
  • 編集:リー・スミス
  • 音楽:ハンス・ジマー

予告編

レビュー

音声を加工する方法に「コンプレッサー」というものがある。

ざっくり説明するとこういう原理だ。

まず基準となる音の大きさを設定する。

基準より大きい音はその基準まで小さくし、逆に基準より小さい音はその基準まで大きくする。

というもの。

『ダンケルク』はコンプレッサーを思わせる映画だ。

劇中では別々の人物・集団が、別々の場所で、

「1週間」「1日」「1時間」

と、別々のタイムリミットの中でエピソードを繰り広げる。

これらのエピソードが交互に語られ、2時間という尺に圧縮(Compress)されて一本の作品にまとめられている。

そのため、それぞれの出来事があたかも同じタイムリミットの枠内で、同時に起きているような錯覚を観客に与えるのだ。

(※または、株やFXやる人は分かると思うのだが、移動平均線の短期線・中期線・長期線を同時に表示したチャートとも似てる)

そのうえ『メメント』よろしく時制を入れ替えるものだから、話の中に謎を散りばめなくとも、編集によって結果的に

"Why Done It?" (どうしてこうなった?)

形式のミステリー要素が加わり、サスペンスに厚みが出る仕組みだ。なんとトリッキーな。

『パルプフィクション』を観てるようでもある。

ちなみに時間には2種類あって、

客観的な時間をクロノス時間、

主観的な時間をカイロス時間

と呼ぶ。

「一日千秋」

とはまさにクロノスとカイロスの関係を端的に説明した言葉だ。

シーンごとに客観的な時間と主観的な時間をどんなバランスで混ぜ合わせるのか。

そこに作り手それぞれのクセが現れるのも映画の面白いところ。

クリストファー・ノーランはその方向に強い作家性を持った監督で、『ダンケルク』は彼の「時間芸術」の集大成ともいうべき作品となった。

それから作曲家ハンス・ジマーの仕事の中では、本作が一番印象に残った。

シャカシャカシャカシャカ!

と性急に時間を切り刻む時計の音。

そして焦燥を煽る不安でいっぱいなストリングスにざわざわハラハラが止まらない。

特に終盤の、

「ふぁーーーーん」

と鳴り続けるストリングスの通奏高音に、

スツーカ急降下爆撃機の

「ヒュワーーーン」

というサイレンが重なる演出が巧み。

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