ミュージカル映画『恋の手ほどき』レビュー

映画

作品情報

恋の手ほどき

(原題:Gigi)

  • 製作:1958年/アメリカ/116分
  • 監督:ヴィンセント・ミネリ
  • 出演:レスリー・キャロン/モーリス・シュヴァリエ
  • 原作:コレット『ジジ』
  • 脚本:アラン・ジェイ・ラーナー
  • 撮影:ジョセフ・ルッテンバーグ
  • 編集:アドリアン・フェイザン
  • 音楽:アンドレ・プレヴィン

予告編

レビュー

こんにちは、こんばんは。

臘月堂、主人の南(@lowgetsudou)です🌙

青春文学『青い麦』などで名高いフランスの国民的小説家コレット原作の映画。

1900年。不況を脱し、文化的な爛熟期にあったパリを舞台にしたラブロマンスのミュージカル化です。

美術も衣装もまるで『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏場』から人びとが飛び出したかのよう。

資本主義と消費文化が浸透した享楽的な当時のパリのムードを楽しむにはもってこいの映画です。

わざわざミュージカルで翻案した割にはダンスに乏しくメロディも地味という難点はあるものの、

狂言回しのモーリス・シュヴァリエが見せる好々爺然とした物腰やレスリー・キャロンの愛らしさにより、ストーリーの牽引力が保たれています。

終始ベル・エポックのパリの綺麗な面だけが強調されますが、

同時に当時のフランス(を始め欧米列強)は、

アフリカや東南アジアへ帝国主義の魔の手を伸ばし、

ドレフュス事件でユダヤ人差別の根深さが浮き彫りになり、

貧困にあえぐ労働者たちがサンディカリスムに走り、暴力による過激な社会主義運動を展開していた時代でもあります。

劇中で語られない負の歴史も踏まえた上で、こういった"華やかで綺麗な"作品は鑑賞したいものです。

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