映画『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』レビュー

映画

作品情報

アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル

(原題:I, Tonya)

  • 製作:2017年/アメリカ/121分
  • 監督:クレイグ・ガレスピー
  • 出演:マーゴット・ロビー/セバスチャン・スタン/アリソン・ジャネイ
  • 脚本:スティーブン・ロジャース

予告編

レビュー

こんにちは、こんばんは。

臘月堂、主人の南(@lowgetsudou)です🌙

90年代前半に世界中の話題をかっさらったフィギュアスケーター、トーニャ・ハーディング。

『アイ、トーニャ』はその演技と同じくドラマチックすぎる彼女の半生を綴った伝記作品だ。

序盤とラストにおいてスローモーションで映される《ジャンプと着地》で《成功と凋落》が暗示され、

そこから一気に

「泥臭い努力でどん底から這い上がった主人公の成り上がりと急転直下を描く一代記」

が展開する。

同じ構造の作品は

『グッドフェローズ』
『バリーリンドン』
『スカーフェイス』
『日本で一番悪い奴ら』

など名作揃いだが、今作の場合

・登場人物によるナレーション
・人物を追う長回し気味のステディカム
・状況のシビアさとミスマッチな既成ロックナンバーの多用
・ストップモーション
・第四の壁の破壊

などスコセッシ的アプローチが大々的に採用されている点が特徴的だ。

特に、登場人物たちが終始「F◯CK」を連発したりマーゴット・ロビーが出演しているところなど『ウルフ・オブ・ウォールストリート』を思い出さざるを得ない。

その喩えで言えばトーニャがディカプリオ、彼女をピンチに追い込むショーン(誇大妄想狂のクソデブ)はさしずめジョナ・ヒルか。

演出のトーンは『アメリカン・ハッスル』とも近い。

今作におけるトーニャは、母や夫など周辺人物や環境に振り回され続ける、半ば被害者のような設定を与えられている。

「毒親と子供のひずんだ愛憎劇」という点では『セッション』『美味しんぼ』『巨人の星』

「成り上がる妻とその陰に隠れた夫」という点では『歌え!ロレッタ 愛のために』を観ている気分だ。

脚本や演出次第ではシリアスな作品にもなり得た素材だが、今作は「バカ博覧会」映画に振り切った。

特に中盤のバカコンビによる犯行は、『バーンアフターリーディング』『ファーゴ』などコーエン兄弟のコメディ路線を観る感覚に近い。

ストーリーそのものだけでなく、魅力的なキャラ達、あるいは作品が持つ統一感のある雰囲気自体にハマる人も多いはずだ。

「スコセッシが好きなら」という枕言葉は付いて回るはずだが、

楽しむ切り口が豊富で繰り返しの鑑賞に耐えうる作品と言える。

おススメ!

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