映画『地獄の英雄』レビュー

映画

作品情報

地獄の英雄

(原題:Ace In The Hole)

  • 製作:1951年/アメリカ/112分
  • 監督・脚本:ビリー・ワイルダー
  • 出演:カーク・ダグラス
  • 原作:ビリー・ワイルダー
  • 撮影:チャールズ・ラング
  • 編集:アーサー・シュミット
  • 音楽:ヒューゴー・フリードホーファー

予告編

レビュー

こんにちは。臘月堂(@Lowgetsudou)です。

以前、東南アジアで洞窟の中に何日も閉じ込められた少年たちが話題になった事を覚えていますか?

増水により出入りする空間が塞がれ、何人ものダイバーが救出に駆けつける事態に発展したのです。

幸いなことに、無事にみんな救い出されるハッピーエンドを迎えました。

それは良いのですが、こうして他人に不幸が起きるたびに元気に騒ぎ立てるのがマスコミ。

そして我々、視聴者です。

「助かるのか。。!」

「助からないのか。。!」

現場の模様に私たちは時にハラハラし、

時に無関心な目線を画面に送り、

ニュースの合間にはたくさんの企業広告が私たちの目を楽しませ、

購買意欲を掻き立てました。

『群衆』
『ナイトクローラー』
『ネットワーク』
『マッドシティ』
『ニュースの天才』
『ナチュラル・ボーン・キラーズ』

などなど、

「腐敗したメディア」

ひいては

「踊らされる大衆」

を痛烈に諷刺した映画は枚挙に暇がありません。

ウィリアム・ランドルフ・ハーストの昔から、

ルパート・マードックの現在に至るまで、

メディアはしばしば利益のために真実や人の心を踏みにじり続けてきました。

「広告枠を売る」という業態が存在する限り、上記のような映画はこれからも作られ続けるのでしょう。

『地獄の英雄』もまた情報の発し手と受け手、

双方の倫理観やリテラシーを痛烈に諷刺した社会派ドラマです。

カネ目当てで岩穴に潜って閉じ込められた自業自得のレオ。

事件をわざわざ針小棒大に演出し、出世を図る新聞記者。

市民から人気を得たいが為に、名声に目が眩んだ記者に手を貸す悪徳保安官。

センセーショナルな記事を見て大集合しお祭り騒ぎする無数の野次馬たち。

野次馬を店に誘導しちゃっかり儲ける被害者の奥さん。

事件の結末に白々しい涙をこぼし、軽薄な祈りを捧げる人々。

「自分も日頃、不幸なニュースに対してこの映画の登場人物と同じようなリアクションを取っていないか?」

「情報を鵜呑みにせず疑ってかかる習慣は身に付いているだろうか?」

アレコレ考えながら観れば、自分もひょっとしたら抱えている欺瞞に気付くための、リトマス試験紙に『地獄の英雄』がなり得るかも知れません。

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