映画『ロスト・リバー』レビュー

映画

こんにちは。臘月堂(@Lowgetsudou)です。

今日はライアン・ゴズリングの初監督作品『ロスト・リバー』の話。

作品情報

ロスト・リバー

(原題:Lost River)

  • 製作:2014年/アメリカ/95分
  • 監督・脚本:ライアン・ゴズリング
  • 出演:クリスティーナ・ヘンドリクス/シアーシャ・ローナン/イアン・デ・カーステッカー/マット・スミス/ベン・メンデルスゾーン
  • 撮影:ブノワ・デビエ
  • 音楽:ジョニー・ジュエル

予告編

あらすじ

経済が破綻しゴーストタウンと化したデトロイト。

廃墟が立ち並ぶ街に、しがみつくように生活する2つの家族がいた。

主人公のボーンズ(イアン・デ・カーステッカー)と母親のビリー(クリスティーナ・ヘンドリクス)。

そしてラット(シアーシャ・ローナン)とその祖母だ。

ボーンズは打ち捨てられた家々の壁から銅をかき集め、業者に売って日銭を稼ぐ毎日を送る。

しかし、そんなボーンズの存在を邪魔に思う男がいた。

銅を独り占めしたい街のチンピラのブリー(マット・スミス)だ。

ボーンズは自分を殺そうとするブリーに、日夜つけ狙われる事になる。

そんなある日ボーンズは、隣家に住む少女ラットから街に伝わる噂を聞いた。

「この街が荒廃したのは”呪い”が原因よ」

「呪いを解くには、近所の貯水池に沈んだ街からある物を回収するしかないの…」

ブリーの追跡を逃れ、貯水池に向かったボーンズは…

レビュー

『It Follows』『ドント・ブリーズ』同様、荒れ果てたデトロイトを舞台にした郊外ダークファンタジー/ゴシックホラー。

劇映画の体裁を取っているものの、物語より「見せたい映像を見せる」事に舵を振り切った芸術映画の色合いが強い。

それも、ライアン・ゴズリングが敬愛してやまない(であろう)先達への愛情に満ち満ちている。

唐突に過剰に痛々しい暴力シーン、

ダークで地を這うようなテクノ音楽の多用、

明暗と色彩のコントラストをバキバキに強調する映像作り。

これらには『ドライヴ』『オンリー・ゴッド』で仕事を共にしたニコラス・ウィンディング・レフン

(※音楽担当のジョニー・ジュエルもまたレフンの『ドライヴ』『ブロンソン』に参加)

郊外で起きる不気味な事件、奇怪な人物の奇怪な行動はデヴィッド・リンチ

湖底の水の揺らめき、ボートで川を行くシーンはゴズリングが愛する『狩人の夜』

強烈な緑と真紅の光を受けたシアーシャ・ローナンの横顔はダリオ・アルジェント『サスペリア』そのもの。

その他にもテレンス・マリック

画家のエドワードホッパー

イタリアンホラーのマリオ・バーヴァなど、

「好きな要素を集めてデタラメにコラージュ」

したシュルレアリスティックな出来栄えだ。

この節操のなさ、オリジナリティよりも「好き」をサンプリングした渋谷系感覚が受け入れられるか否かが、今作を楽しめるかどうかの分かれ目になるだろう。

さしずめThe Cureに対するThe Essenceのような。

他にも絵画的で目を引くシーンは沢山あり、

グランギニョル座の血なまぐさい舞台劇を彷彿とさせるショー、

赤々と燃え上がる家、

ラルフ・ペーターズの写真を思わせる夜のガソリンスタンド

などがとりわけ印象深い。

このようにルックの印象が勝る作品であることは確かだが、不安感と緊張感に満ちたストーリーにはゴズリングの個人的な体験が反映されている。

インタビューによると、ゴズリングは『スーパー・チューズデー』のロケで訪れたデトロイトの光景にインスパイアされ、そこから物語を作っていったそうだ。

ゴズリングの両親は13歳の時に離婚し、彼は母親と共に暮らした。

母親はシングルマザーであるだけでなく美人で、彼女を狙う街の男たちは「狼のよう」だった。

母親と車に乗っているところを男たちに囲まれ怖い思いをしたともいう。

今作の主人公の一人であるビリーもシングルマザーで、劣情に駆られた男に迫られるシーンがクライマックスの一つとなっている。

そして追い詰められたビリーによる一撃。

タランティーノ映画のラストシーンのような明快さや爽快感はないとはいえ、あのシーンもまた

、映画だからこそできる現実への復讐ではなかったか。

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