作品情報
LUCY/ルーシー
(原題:Lucy)
- 製作:2014年/フランス/89分
- 監督・脚本:リュック・ベッソン
- 出演:スカーレット・ヨハンソン/モーガン・フリーマン
- 撮影:ティエリー・アルボガスト
- 編集:ジュリアン・レイ
- 音楽:エリック・セラ
予告編
レビュー
こんにちは、こんばんは。
臘月堂、主人の南(@lowgetsudou)です🌙
リュック・ベッソンのこの空回り加減、『ニキータ』と全く同じである。
「何がやりたいのか分からない映画」
なら楽しみようもあるんだけど、
「やりたい事は分かるけど上手くない映画」
は観ててホントにキツい。
同様に
「ダサかっこいい」
は結局カッコいいんだけど
「かっこよダサい」
はカッコつけてる分ダサさが増して見てらんないのだ。
序盤で主人公の人物設定をほぼ描かずに、いきなりアクションへなだれこむ展開自体は特に問題ない。
というのは類似した設定の『アドレナリン』よろしく、
ひたすら人物が走り続け、暴れ回る様子を見せるバカ映画に振り切る選択があるからだ。
『怒りのデスロード』がその最たる例と言える。
もしくは『アトミックブロンド』よろしく金髪の姐ちゃんが暴れまくるアクション映画に振り切る選択もあったろう。
(『アトミックブロンド』は冷戦終結間際の世相も反映させており、テーマの厚みもあった)
好き嫌いはともかくとして、
いずれも表現の軸が明確で、中途半端に陥らない作品ばかりだ。
それが今作『LUCY』の場合、
「アクションに寄せたいし、
視覚効果も凝りたいし、
人物の心情も描きたいし、
深遠なテーマも描きたいし、
どうしよう、、」
「いいや、ケレンと勢いで何とかなるだろ、全部つっこんじまえ!」
という見切り発車のやっつけ仕事により、
すべての要素が中途半端という結果になってしまった。
特に
・序盤の手術室における電話シーン、
・科学者とのテレビ電話シーン、
・警官とのキスシーン、
・ギャングの撃ち合いスローモーション
・終盤の時間遡行シーン
は、ダレるばかりで目も当てられない。
個人的にこの作品の正解は以下の2つ↓
①ミュージックビデオ
人物設定や世界観を掘り下げない方法はそのままで、
ハッタリのきいた視覚演出だけに特化し、
5分程度のMVに収める。
(ギャングのアジトへの単身討ち入りシーンなんて『カウボーイビバップ』最終話みたいで好き)
②連続ドラマ化
ルーシーが覚醒していく過程を各話
「10%」「20%」「30%」
と分割し、十分な尺で人物設定と世界観と勢力関係などを掘り下げる。
それで初めて
「道具の進化でなく、自らの脳を覚醒させることで人間は進化を遂げる」
という主題、および主題を語る人物に説得力と共感が生まれる。
(ルーシーが科学者たちを前に行ったプレゼンは、掘り下げればもっと面白くなる内容だった)
そうすれば
ニーチェ、
『2001年宇宙の旅』、
『攻殻機動隊〜GHOST IN THE SHELL〜』
『ジョジョの奇妙な冒険〜ストーンオーシャン〜』
などへのアンサーとして名作にもなり得たのではないか??
少なくとも90分で全部やろうとするには、帯に短くタスキに長いこと極まりない無謀な試みだ。
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