こんにちは、こんばんは。
臘月堂、主人の南(@lowgetsudou)です🌙
今日は『グッバイ、サマー』の話。
作品情報
グッバイ、サマー
(原題:Microbe et Gasoil)
- 製作:2015年/フランス/104分
- 監督・脚本:ミシェル・ゴンドリー
- 出演:アンジュ・ダルジャン/テオフィル・バケ/オドレイ・トトゥ
- 撮影:ロラン・ブリュネ
- 編集:エマニュエル・カストロ
- 音楽:ジャン=クロード・ヴァニエ
予告編
レビュー
ミシェル・ゴンドリーは映像のセンス・オブ・ワンダーに振り切った映画やMVで語られることが多い監督。
しかしその一方で、今作や『ウィ・アンド・アイ』のように
「モラトリアムにある若者たちの心の機微」
をじっくり丁寧に扱った作品も素晴らしい。
今作で描かれるのは、少年が自分を探すためではなく、自分を捨てるための旅。
人々との出会いを通して自己対話を重ねる主人公や、妙ちきりんな乗り物でのまったり道中。
なんだかリンチの『ストレイト・ストーリー』を思い出す物語だ。
中でも以下のセリフにハッとした。
「お前はエゴイストだ。自分にしか興味がない。一度だって俺に質問したことがあるか?」
余裕がなく身勝手で、自分のことしか考えられずに、人を傷つけたり傷ついてきた人の胸には刺さる言葉だと思う。
私はこのセリフで若い頃の、思い出すだけで苦しくなる記憶がいろいろ蘇ってきた。
そして『Be Kind Rewind』などゴンドリー作品の多くに共通する、「"弱きもの"に対する愛と共感」もしっかり描かれていた。
『エターナル・サンシャイン』などと比べたら一般的な評価は低いが、この路線のゴンドリーもいっそう注目されてほしい。
コメント