映画『ミニマリズム:本当に大切なもの』レビュー

映画

こんにちは。臘月堂(@Lowgetsudou)です。

メディアや企業の広告戦略であらかじめ用意された幸福の基準、とりわけ拝金主義と物質主義に対する警鐘。

そして、それに対するミニマリズムのメリットについて謳ったドキュメンタリーです。

ギャップ演出として、

「かつて出世街道まっしぐらでお金と消費だけを考えて生きていた自分が、まさかミニマリストになるとは」

というストーリーが強調されています。

自分はもともと金持ちでも何でもないですが、彼らと同様ミニマリスト気味な生活をしており、ほぼモノを持ってません。

自身の経験だったり本や映画から影響を受けて、だんだんこのライフスタイルに落ち着きました。

中でも放縦な消費のバカバカしさについては、『ファイトクラブ』『アメリカンサイコ』で思い知らされたところが大きいです。

「ミニマリズム」という哲学はここ数年で急速に脚光を浴びた感がありますが、これはあらゆる古典の中でとうに言い尽くされている事でもあります。

3000年前、ソロモン王が著したとされる『コヘレトの言葉』

2500年前、俗世間での出世や争いに背を向ける美徳を説いた老子荘子

シェイクスピアの『リア王』では地位や財産という虚飾を剥ぎ取られた老人の無様さが描かれます。

仕事やカネに振り回されるばかりで他者と絆を築くことを避けてきた老人の虚しさを描いた話といえば、トルストイ『イワン・イリッチの死』やディケンズ『クリスマス・キャロル』が白眉。

映画であれば『野いちご』『脳内ニューヨーク』『アバウト・シュミット』などが代表的でしょうか。

「人の生にとって本当に大事なものは何か?」

その問いを投げかける作品がいつの時代にも存在する。

これは、それだけ人間が生の本質を見失いがちな生き物であるという事を表しているように思います。

数々の古典が提示してきたメッセージが、たまたま21世紀初めの現在「ミニマリズム」という名前を与えられたという事でしょう。

膨大な数のコンテンツで視聴者を翻弄するNetflixがこのドキュメンタリーを配信しているというのは、皮肉にも受け取れます。

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