映画『スポットライト 世紀のスクープ』レビュー

映画

こんにちは。臘月堂(@Lowgetsudou)です。

今日は『スポットライト 世紀のスクープ』の話。

作品情報

スポットライト 世紀のスクープ

(原題:Spotlight)

  • 製作:2015年/アメリカ/129分
  • 監督:トム・マッカーシー
  • 出演:マーク・ラファロ/マイケル・キートン/レイチェル・マクアダムス/リーヴ・シュレイバー/ジョン・スラッテリー/スタンリー・トゥッチ/ビリー・クラダップ
  • 脚本:ジョシュ・シンガー/トム・マッカーシー
  • 撮影:マサノブ・タカヤナギ
  • 編集:トム・マカードル
  • 音楽:ハワード・ショア
  • 受賞:第88回アカデミー作品賞/脚本賞

予告編

レビュー

巨大な権力が隠ぺいする真実を、地を這う虫のように追い続ける、新聞記者たちの静かな戦い。

演者たちの抑え気味な感情表現や、

ハワード・ショアのミニマルなピアノ、

色味の薄い衣裳やプロダクションデザイン、

動きを最小限に抑えたステディカムのシンプルな撮影など、

テンションが抑制された演出は

「華より真実」

という、あるべきジャーナリストの職業倫理を表したものだろう。

娯楽としての分かりやすさを排し、職業倫理の提示や仕事に打ち込む人へのリスペクトを優先した作りにとても好感が持てる。

特に、膨大な量の資料を一つ一つ丁寧にチェックするシーン。

また、キーマンたちに接触し情報を聞き出すための度重なるトライ。

地道な努力の積み重ねは『ゾディアック』を観ているようだった。

(ゾディアックで孤軍奮闘するジェイク・ギレンホール君と違ってチーム戦だからまだ良かった!)

私は弱い人間で、ついつい

「今すぐ!できるだけ簡単に!結果だけがほしい!」

と甘い考え方をしてしまう。

それもあって、彼らの仕事に対する姿勢には感銘を受けた。

物事は長い目で取り組まなきゃダメだ!

今作とよく似た映画として『大統領の陰謀』を思い出した人も多いはずだ。

ウォーターゲートの陰謀をつきとめ白日のもとに晒した、新聞記者たちの奮闘を描いた作品だ。

両作に共通するのは、腐敗しているのが

「人々が何を置いても信頼したい組織」

という点だ。恐怖の軸はそこにある。

政府、警察、法曹界などはよく題材になるが、

宗教団体が信者の信仰心につけ込んで搾取するとは吐き気を催す邪悪じゃないか。

免罪符の発行で権威と財政を維持しようとした中世カトリック教会と何ら変わらない。

取っ掛かりは小さな悪に過ぎないと思っていたものが、

調査を続けるうち、背後に巨大な黒幕が存在することが分かる展開も同じだ。

『大統領の陰謀』のアラン・J・パクラ監督は『パララックスビュー』でも権力の陰謀を突き止めるため孤独に戦う男を描いている。

問題が根本的に解決された訳ではないにせよ、『スポットライト』は一応の勝利で終わった。

ただ、たとえ戦いに負けたとしても、敵が大規模のシステムだからと簡単に諦めたり安易なニヒリズムに陥るよりはマシだ。

『カッコーの巣の上で』『いまを生きる』から教えられた本質が、この作品にもあった。

生きる勇気をくれる映画が私は好きだ。

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