映画『グレイテスト・ショーマン』レビュー

映画

作品情報

グレイテスト・ショーマン

(原題:The Greatest Showman)

  • 製作:2017年/アメリカ/105分
  • 監督:マイケル・グレイシー
  • 出演:ヒュー・ジャックマン/ミシェル・ウィリアムズ/ザック・エフロン
  • 脚本:ジェニー・ピックス/ビル・コンドン
  • 撮影:シェイマス・マクガーヴェイ
  • 編集:トム・クロス

予告編

レビュー

こんにちは。臘月堂(@Lowgetsudou)です。

事実を基にしたフィクション(ヤラセ上等の見世物) 

そのものを扱った

事実を基にしたフィクション(伝記映画)

という、メタな構造がユニークです。

『シンドラーのリスト』を始めこういうお話には

「史実と違う!主人公を綺麗に描きすぎだ!」
というヤジが付き物。

ですが、

どんなコンセプトに基づいて、

事実の何が誇張され、

事実の何が矮小化または排除されたのか?

そこに生じた事実との差異はどういう質・量のものなのか?

その差異をどう評価するのか?

それらが「事実を基にしたフィクション」の読み方ではないでしょうか。

個人的には

<<事実を捻じ曲げてでも観る人を驚かせ楽しませよう>>

としたP・T・バーナムの人生を描くにあたり、

バーナムの美点にスポットを当てて針小棒大に語ったのは適切な演出だと考えます。

リアリズムを追求してはむしろバーナムが目指したコンセプトと矛盾するという見解です。

逆説的ではありますが。

フェイクニュースが深刻な問題となっている昨今、

「エンタメは現実と虚構のバランスをどう取るべきか?」

という普遍的な問いかけを含んだ今作は、この時代に作られる必然性が高いと言えるでしょう。

「多様性賛美の形を借りたフリークスプロイテーション」

とシニカルに甘んじ切り捨てるには惜しい。

この作品は隣接テーマが豊富なので、各視点について参照できそうな映画を挙げました。

①虚構VS現実 

(1)虚構が現実を侵食する恐怖

『ナイトクローラー』
『ニュースの天才』
『群衆』

(2)虚構が現実を侵食する希望

『インビクタス』
『エンジェル・ウォーズ』
『アルゴ』

→(1)と(2)は表裏一体、諸刃の刃。 

②観る人の倫理観を浮き彫りにするリトマス試験紙

『エレファントマン』
『ナチュラルボーンキラーズ』
『ディストラクションベイビーズ』 

③人間性と引き換えに芸術=修羅道を選んだ者が背負う宿命

『風立ちぬ』
『オールザットジャズ』
『セッション』

(→『LA LA LAND』と同じ作曲チームが参加していて話題だけど、
自分がデミアン・チャゼル風を感じたのはむしろこちら) 

④成り上がり者の浮沈を描いた一代記

『バリーリンドン』
『スカーフェイス』
『ゼアウィルビーブラッド』
『ウルフ・オブ・ウォールストリート』
 

……… 

上記のテーマをそれぞれ掘り下げれば自ずと作品のトーンは暗くなるし、 

それは『グレイテスト・ショーマン』が目指すべきゴールとは違う気がします。

メインターゲットが

「元気で楽しいミュージカルを観て感動したい」 

という層に絞られているのであれば、 

届くべき人々に届いて幸せな作品だと言えるのではないでしょうか?

私は素直に楽しめたし満足!

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