映画『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』レビュー

映画

作品情報

ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館

(原題:The Woman In Black)

  • 製作:2012年/イギリス・カナダ・スウェーデン/95分
  • 監督:ジェームズ・ワトキンス
  • 出演:ダニエル・ラドクリフ/キーラン・ハインズ/ジャネット・マクティア
  • 原作:スーザン・ヒル『黒衣の女 ある亡霊の物語』
  • 脚本:ジェーン・ゴールドマン
  • 撮影:ティム・モーリス=ジョーンズ
  • 編集:ジョン・ハリス
  • 音楽:マルコ・ベルトラミ

予告編

レビュー

こんにちは、こんばんは。

臘月堂、主人の南(@lowgetsudou)です🌙

ゴシックホラーにとって脚本やビジュアルの真新しさは必要条件ではない。

狩野派の絵画のように、その完成度はどれだけ様式美を追求できるかで決まる。

ケレンに走らず既存の映像的イディオムを入念に突き詰める作り手が多いからか、

出色した名作が生まれにくい代わりにアベレージヒッターがポコポコ出るジャンルという印象がある。

『クリムゾン・ピーク』くらいオタクが全身全霊こめて作り込んだプロダクションデザインを見せつけられればやはり圧倒されるが。

『ウーマン・イン・ブラック』はヘンリ・ジェイムズ『ねじの回転』に見られるような古典的マナーを押さえつつ、

「死んだ妻を忘れられない男」

という

『チェンジリング』ジョージ・C・スコットを思わせる悲哀も交えた佳作。

救いなのか絶望なのか判然としない後味は『永遠の子供たち』に近いものがある。

そしていわくつきの廃墟の外観や内装、

モン・サン・ミシェルを思わせる小島、

見渡す限りの沼地、

これらの美術・デザインも素晴らしい。

「ツタでがんじがらめになった古いお屋敷」

って舞台設定だけで条件反射的にテンションが上がっちゃうし、今作では『レベッカ』のダンバース夫人よろしく静かに佇む黒装束の不審人物まで登場。

ゴシック要素のハッピーセット状態!

ブラックサバスのジャケットや、ヤークプ・シカネデルの絵などを思い出した。

気味が悪くて最高だ。

お話は凡庸だが、「不気味な視覚的演出だけでお腹いっぱいになれる」という方にはおススメ。

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